僕は路地の住民に対して嫉妬心があります。
ずっと路地のことが好きだったんだけど、路地に住んでいないからには路地に住んでいる住民とは路地と関われる時間が少ない。以前路地の魅力について書いたけど、路地にはよく住民の日常的な生活物が置かれていて、路地という狭い環境の中でいろんなモノを置くための工夫があります。その試行錯誤やこだわりに気づくようになったからは、路地に入り浸っては観察をしています。
そしてこんなことをしながら自分ももっと路地空間にいたい、路地とインタラクティブに関わりたい、といった思いが強くなっていきました。そんなこんなである日もう欲望に耐えられなくなり、路地にインタラクティブに関わることをついに行動に移してみちゃいました。
寄生鉢
まず僕が最初に注目したのが、路上園芸でした。路地の中を歩いていると、実に多くの園芸が狭い空間の中で行われていることに驚きます。まるで花屋のように綺麗に手入れをしているところもあれば、一見無造作に見えるんだけど支柱を指したり、栄養剤を差し込んでいたりと植物の生育を手助けしてあげるようなことがたくさん行われているところもあるなど、路上園芸にはいろんな種類があって、そこに管理人のこだわりが見えてきます。
そこでふと僕は「でもこの人達どんくらい自分の植物のことちゃんと把握できてるんだろう」って思ったんですね。なんかたくさん置いてあるけど、それって意識して置かれているものなのか?と。「とりあえず買っちゃったから育てるかー」みたいな人がいてもおかしくないと感じたんです。そこで園芸空間全体としては体裁を整えてるけど、鉢植え一つ一つのレベルではきっと把握できてないと思った僕は「寄生鉢」といったアイディアを思いついたのでそれを実行に移しました。
内容はシンプルにホームセンターでランダムに自分が気に入った植物を買って、それを自分が気に入った路地の中の園芸空間に置いてみるってだけです。


今回はロベリアとサンパラソルをそれぞれ置いてみました。突然新しい鉢植えが増えた時に住民はどのような反応をするのか。捨てる?受け入れる?いろんな可能性があり得る状況で僕は日々こっそりとこいつらを見守っていました。
…
一週間後。
鉢植えを置いた場所に戻ってみるとそれぞれに変化が!
ロベリアの変化


ちょっとアレンジを加えられていたのも嬉しい。手入れの徹底ぶりからみて、何かしら新しくやってきた鉢植えに対しても何か変化を加えると一気にその人が所有している鉢植えになった気がします。
サンパラソルの変化



路地と関わってみて
この実験を通して、路地ともっとインタラクティブに関わりたいという自分の欲望をある程度満たすことが出来ました。何より、路地に住む住民が自分の家の前の空間をどこまで把握していて、そこに突然異物が入ってきた時の対応方法を見れたのはかなり面白かったです。どんな工夫をしてその空間を保っているのか知りたかったし、実際にその一部を覗くことが出来ました。
今後はもっと置いてみる植物を増やすなり、既に置いてみた植物を増やしたりすることで、引き続き路地とは関わっていきたいです。