路地空間で行われる工夫から感じる路地の魅力

 

高3の時から路地が好きだ。受験の時に勉強に疲れては地元の人形町をぷらーっと何も考えずに散歩することが日課のようになっていて。その現実逃避中の時間に見つけたのが路地だった。しょっちゅうインスタグラムに路地を上げているんだけど、そんなことをしていると久しぶりにあった友人から「出た!路地!」とか言われる。それから「なんで路地の写真そんなに上げてるの?」っていう質問が続く。

今まではなんとなく路地が好きだったのだけど、そんな質問をされていくうちにその理由を考えるようになって、最近それが少しずつわかってきた。

プライベートなパブリック空間

路地からまず感じるのは路地の他所者を寄せ付けないような空気感だ。極端にいってしまえばただの道路だし、誰でも通過していいはずなんだけど、なんだかちょっと通りづらい。特に住民が園芸の手入れなどをしているときに路地を通ったりすると不審な目で見られたりする。ここでいう「路地」というのは道幅4m以下の道路のことをいっているのだけど、道幅4m以下となってくると路地を通過するのはほとんど人か自転車くらいで、車は路地には入ってこない。

広幅員の都市計画道路は誰もが自由に通行する場として用意されているけど、路地は誰もが自由に通過できる場ではないのだ。『路地からのまちづくり』という本の中で路地はサンゴ礁のようなものだと言っているが、まさにその通りだと思う。海では大きな魚が入り込めないサンゴ礁に多くの小魚、幼魚が集まり成長していくけど、路地は都市の中でサンゴ礁のような役割を果たしている。車が入っていこない空間の中で路地の住民たちがヒューマンスケールな空間を醸成している。パブリックな空間であるにも関わらず、どこかプライベートな空間だと感じてしまうのはこのような理由がある。

日常的な生活物の路地空間へのあふれ出し

不審な目で見られても良いなら、路地の中に入ってみよう。なかまで入ってみて初めて路地内の住民が他所者があまり入ってこないことをいいことに、その家の前の空間を好き勝手に使っていることがわかる。彼らは日常的な生活物を家の前にたくさん置いているのだ。上の写真のように使えるものは全て使って洗濯物を干しているところもあれば、植物を丁寧に手入れして園芸空間を作り出している場所もある。

そしてそれらはしばし公私の境を跨いで置かれている。自分の敷地から大きくはみ出したところにまで日常的な生活物を置く行為は、まるで家の前のパブリックスペースをプライベート化しているように見える。前述したヒューマンスケールな空間を醸成しているというのがこれにあたる。

条件↔意思↔工夫を行き来する

とはいえこれらを観察し続けると、「ただ置かれているだけ」といった状態のものが意外と少ないということに気づく。

路地という空間はどうしても狭いので少し敷地からはみ出したところまで置けるとしてもスペースは限られる。そうした条件の中でモノを置きたい意思があり、それを実現させるための工夫がある。植木鉢を一つ置くだけでもそれぞれの家で条件は変わってくるので、自ずとアプローチの手法も変わってくる。そんなことを考えながら何気なく置かれた生活物を見ているとまた違った楽しみ方をすることが出来る。

傾斜↔植木鉢置きたい↔プラスチックを差し込む

手前中央と右側の植木鉢を見て欲しい。植木鉢は底が平らなので、転倒を防ぐために水平な地面に置かれる必要がある。ここではゆるい傾斜の中で鉢植えを置くために、それぞれ黄色と緑のプラスチックを下に差し込むことで水平な地面を作り出す工夫をしている。

そして僕が驚いたのはこのプラスチックが実はナメクジ除けでもあるということだ。ナメクジは葉の上を這ってはネバネバを残していくので、園芸家達からは忌み嫌われている。特に背の低い植木鉢は簡単に登られてしまうことが多いのだが、ここではその問題さえ解決していた。

家の前↔洗濯物干す↔物を転用する

ここではもはや洗濯物のを干すという意思を実現させるためにありとあらゆる条件を駆使してそれを実現させている。一番わかりやすいのは自転車を使って布団を干しているものだ。本来乗り物として使われてある自転車を意思の実現のために布団干し場として転用している。

他にもここでは格子の横棒がハンガーを掛ける場所になっている。この格子もきっと泥棒の侵入を防ぐために設置されたものが転用されたものなのだ。

まとめ

もともと漠然と好きだった路地だったが、今では路地の中に入り込んで、住民の工夫を見つけてはそれを観察していくことが好きなのだと言える。狭いスペースの中で目的を実現させるための工夫は多岐に渡るし、そこに住民の几帳面さや創造性の高さなど個性が見えてくる。これを読んでもなお、その魅力が理解できない人は是非とも路地の中に実際足を運んでみて欲しい。百聞は一見にしかず。路地で行われる工夫を実際に目にすれば、少しはその魅力がわかるかもしれない。

1件のコメント

  1. 「路地は都市の中でサンゴ礁のような役割を果たしている」めちゃおもろ!たしかに!マクロな視点から見える人工空間と自然空間の共通点だな〜逆に路地よりサンゴ礁をよく見てる石垣島住民からのコメントでした。

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