イタリア人ビデオグラファ【Rodrigo “Greg” Rattazzi】


ロンドンのサラリーマンは、残業をしない。定時キッカリにはみんな撤収していく。それが金曜日であれば、なおさらだ。

皆が1週間の仕事を終えて帰路についた後の金曜夜、ロンドンのオフィス街があるHolborn駅から歩いて少しのところにある広告代理店のオフィスを訪ねた。時間は19時過ぎ。もうこの時間だと誰もオフィスには残っていない。

そんな中、クリエイティブエージェンシーらしい広くて綺麗なオフィスに最後まで残っているイタリア人がいた。世界的に有名な広告代理店Saatchi & Saatchiにフリーランスのビデオグラファとして働きに来ているRodorigo ‘Greg’ Rattazzi。Gregは彼のニックネームだ。

ロンドンを拠点にビデオグラファとして活動している彼は、現在29歳。21歳でロンドンに出て来て、sound engineeringを学校で学んだ後、友人に誘われて彼を含めてわずか2人という小さなfilm productionに何の知識もないゼロの状態で飛び込んだ。そこから8年が経ち、独立したひとりのビデオグラファとしてロンドンで活動している彼に、何を考え、どうやって生きてきたのかを聞いてみた。

 

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── グレッグ、今日はありがとう。まず簡単に自己紹介をお願いしてもいい?

うん。僕はRodrigo。Gregってのはニックネームなんだけど、何年も前に友達がつけてくれたんだ。それでロンドンに来てからは、Rodrigoってあんまり言いやすい名前じゃないからGregが定着しちゃった。だからemailでも名刺でも、今は全部Gregだ。

英国には10年前くらいに来た。たぶん11年前かな?その時は何がしたいかも全然わからなくて、とりあえず少しの間旅に出たよ。アムステルダムに行ったんだ。本当は数ヶ月間大学に行ってたんだけど、学校で教えてくれることは全然面白くなかった。だから、お母さんに「僕はもっと人生をいろいろ知りたいよ。何か興味を見つけたら勉強したいけど、今はまだ気持ちが向かない。」って言って、とりあえずアムスまでの片道のチケットを買った。19歳の時だったね。

まあ若かったし、すぐお金もなくなっちゃってね。それでまた場所を変えようと思って、ロンドンに来たんだ。ロンドンにしたのは、とりあえずお金が35ユーロしかなくて、チケット売り場に行ったら行けるところがロンドンだったんだ。でも、こっち来たらもうすっかりテンション上がっちゃったね。いろんな人がいるし、そこでいろんなアイディアが形になってくんだ。すごく感動したよ。

 

── そういう流れでロンドンに来たんだね。それからはfilmingの学校でも行ったの?

いや、それからしばらくはレストランとかバーで働いてたよ。その間に音楽が好きだったからDJを始めた。レゲエミュージックだよ。それからsound engineeringの学校に通い始めたんだ。働きながらだったから、9ヶ月間の夜のインテシブコース。でも、お金がなかったからお金はお母さんに出してもらったんだ。

それからは、sound engineerとして1年半くらい働いてた。そしたら、ある時いきなり友達が僕の机にカメラを持ってきて「これやってみない?」って言ったんだ。それでやってみたら、もうfilmingに恋に落ちたね。sound engineerとして働くのも楽しかったんだけど、ずっとスタジオに篭って録音したり編集したりだったから、何か自分を外に連れ出してくれるものがすごく嬉しかったね。

 

── そうやってfilmingに出会ったんだね!それでfilm productionに入ったの?

そうそう。でも、それが自分とその友達の2人だけだったんだ。で、しかも彼はすごくクリエイティブで才能のあるやつなんだけど、自分自身ではあんまり撮影しないんだ。だから仕事の中でもう必死になって勉強したね。分かんなくても、あれやって!それ撮ってきて!みたいなのがどんどんあるから。日中は働いて、夜は勉強して。そうやって何年間か必死に過ごして、今はフリーランスでやってるよ。

ここ(Saatchi & Saatchi)では編集の仕事が多いけど、自分自身でやるときはshooting directorって名乗ってて、プロジェクトを最初から最後まで自分でやるんだ。編集も好きだけど、やっぱりfilmingは自分を外に連れ出して新しい世界や人を見せてくれるから、そこのバランスはちゃんと保ちたいね。

 

── なるほど。でも急に誘われてやり始めて、迷いとかなかったの?

ないない!そういうのは縁だから。チャンスがきたら掴まなきゃ。それに実際やってみて、僕の場合はどんどんハマってったしね。この仕事はさ、僕が勉強してきたsound engineeringと視覚的な要素のコンビニネーションで、自分の感覚だったりマインドを形にできるんだ。写真と似てるけど、写真に音楽と動きが加わってて、僕はモーショングラフィックも好きだから、それら全部が合わさった感じだね。

まあだから、僕は毎朝起きるたびに幸せを感じるよ。いろんな人に会えるし、いろんなところに行けるから。だから、今はすごく情熱を持って生きられてるね。イタリアを出た時は全然そんなふうになるって予想してなかったけどね。

思うに、情熱を見つけるためにはやっぱりひとつのことばかりじゃなくて、色々外に出てやってみたら良いと思うんだ。そうやってる内に今やってるものよりもっと面白いものが出てきたりするもんだよ。それで何かビビってきたら、もうそこに情熱を持ってやってけばいいんだよ。

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