ベトナムでスネを切る、足を縫う。

怪我をして、針で縫ってもらう経験を初めてした。
ベトナムはホイアン。あっという間の出来事だった。

 

14:30。カンボジア行きのフライトに乗るために僕はタクシーをGrab(Uberと似たサービス)で探した。運転手はすぐにみつかり、タクシーに乗り込んだその瞬間、ズンっとスネのあたりに痛みを感じる。

見てみてびっくり。スネがパッカーンと切れ、大量に出血していた。肉がえぐれていて、蝋がとけたときのような形になっている。あー、これはヤバイやつだ、とすぐに悟り、タクシー運転手に「Tissue!!!」と叫ぶ。

タクシーの運転主はすぐに振り返り、謎の大量出血に困惑しながらも何故か偶然持ち合わせていたウェットティッシュを僕に渡してくれる。男性がウェットティッシュもってるとかなかなかレアな気がするが、ナイス判断!ナイスアクション!!!

とはいえ、まだ状況が掴みきれていない彼は一度運転席から降りて、僕の席まで回ってきてくれた。「ワッ?ハプン???」と聞かれたので、えぐれたスネを見せると血の気の引いた顔で彼が一言。

 

「オーマイガー」

 

戦犯はこいつ。これで足が切れることは想像し難いのはわかるが、実際すごい勢いで切れた。先端の少し跳ねた部分に足を引っ掛けてしまったのだ。

彼はすぐに運転席に戻り「パマセ!!パマセーーー!!!オ〜〜!!パマセ!!」と叫びながら運転を始めた。

僕はどこに連れていかれるんだろう。

そんな不安を抱えながら”What? PAMASE??”と彼に質問をしてもガン無視。「パマセーーー!!!」の一点張り。こいつなかなか癖が強い。

不安を抱えたままタクシーは走り続ける。足の出血が止まらない。せめてもの思いで、足を心臓より高くあげようとする。身長195cmの大男がタクシーの中で足を抑えながら、これをしようとすると、なんかよくわからない変なポーズになる。シルク・ドゥ・ソレイユのパフォーマンスでこんなポージングをしてる人を見たことがあるなあ、とか思いながら、、、いやそんなこと思ってる場合じゃない。

「パマセーー!!!」と叫ぶ運転手とシルク・ドゥ・ソレイユポーズの男が乗ったタクシーを道行く人が不審な目で見てくる。

車は5分程走り止まった。ついたのは薬局だった。Pharmacy。彼はパマセー!!じゃなくて、ファーマシーー!!と言っていたのだ。

なるほどありがとう!!!!

薬局に入るとタバコを吸ってる男性店員が、やれやれまじかよ、ちょーめんどくせーなおい、みたいな顔しながら手当をしてくれた。そしてこりゃだめだ、病院行け、縫ってもらえと言ってきた。

 

15:00。フライト…と思いつつもとりあえず病院に向かうために再びタクシーに乗り込む。タクシーが動き出し、2分くらい走ってからドライバーが今度は「ウェア?ウェア?」と言い出す。はいー?と聞き直すと「ウェア!?ホスピタル!ウェア?!」とか言ってる。ここで俺も一言。

 

「オーマイガー」

 

ホイアンでタクシードライバーやってるのに病院の場所がわからないらしい。血だらけの手をウェットティッシュで拭き、グーグルマップで病院を調べると車で5分と表示される。いやすごい近いじゃん。地元じゃん。知ってろよ。

とりあえず無事病院につき、診察部屋まで案内される。ベッドに寝かされ、手当が始まる。消毒、止血をしてから縫います、と手順を丁寧に説明してくれる。ナース優しい。

自分のグロテスクな足はなるべく見たくないので、スマホをいじりながら手当を受ける。消毒液が染みて地味に痛い。それが拭き取られれるのを感じ、5分程度布を当てられる。止血が終わったことを感じる。それからなにかチクチクした作業が10分程続く。傷口を縫ってもらうのってこんな感じなんだなーとか妙に関心しながら手当が終わるのを待つ。

 

15:30。あれ、これ今から向かえばフライトギリ間に合うんじゃない?と期待が頭をよぎる。「もうオッケー?帰っていいー?👌」と陽気にハンドジェスチャーを交え、ベッドから起き上がりながら言うと、さっきまで優しかったナースが鬼の形相で「NOOOOO!!! STICH FROM NOW!!!」と怒鳴る。

 

「まだ縫ってなかったんかーい!!」とインスタでよくみる「動画かーい!!」みたいに一人で叫んだ。

 

16:00。もうフライトは完全に諦めている。ちなみにこの間、ずっとタクシーの運転手はすぐ側で治療を見守ってくれてる。きっと、変だけどなんだかんだいい奴なタイプだ。

タクシー運転手。たまに心配そうに足を見てきた。

今度は本当に縫ってもらった。普通に麻酔して、普通にちょっとだけ痛かった。担当のお医者さんに”Do you speak English?”と聞いたら何も聞こえなかったかのように無視されて心配になったけど、結局普通だった。

 

16:30。病院を後にし、泊まっていたホステルに戻る。「アンラッキーだったな!ははは!」とタクシーの運転手が笑ってる。笑うな。

 

17:00。ホステルに着く。目的地(空港)に着いておらず、Grabがまだ有効になっていたので、キャンセルしようとするが、何故かうまくできない。運転手が俺がやってあげるよ、というので彼に渡す。手続きが終わりスマホを返してもらう。そして、じゃあなー、まあありがとなー、と彼に別れを告げた。

5分後、僕のgmail宛にGrabから「あなたの空港までの支払いが完了したよ!」と領収書と共にメールが来る。お?と思いアプリを確認すると、確かに支払いが完了していて、運転手の評価も星5つになっていた。

運転主はキャンセルなんかしないでただ、行ってもない場所までの支払いを済ませ、なんなら自分に高評価までつけていた。

 

あいつゆるさねえ。

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